演題 | 心身医学からみた心と身体:機能性消化管疾患における脳と胃腸の関連 |
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日時 | 2009年12月19日(土)開場13時30分から15時30分 |
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場所 | 愛知学院大学 14号館14201教室(日進学舎) |
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講師 | 金子宏(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院神経内科(心療内科)教授) |
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講演要旨 | 機能性消化管障害とは、FD (functional dyspepsia:機能性胃腸症、機能性ディスペプシア)、過敏性 腸症候群(IBS:irritable bowel syndrome)を代表疾患とする、慢性の腹部愁訴(腹痛、便秘・下痢など) があるにもかかわらず、それを説明するに足りる局所の器質的疾患(胃潰瘍、がんなど)、代謝性疾患 などの全身疾患がみられない病態の総称である。頻度が高く、致死的な病気ではないが、生活の質(QOL) の低下をもたらす本人にとっては困った病気である。 症状発生の原因(病態)は不明な点が多いが、消化管機能(運動と知覚)の異常、心理的異常が関与し、 脳と胃腸の間に双方向の関連(脳腸相関)がみられる。ストレスによって症状が悪化し、心配(不安)に なるとそれがまたストレスとなるという悪循環がみられる。胃腸の病気ではあるが、パニック障害、うつ 病などの精神疾患と共存することも知られている。IBS は児童期、青年期に多い疾患であり、パニック 障害との共存が注目されている。機能性消化管障害の症状を考える際には、生育歴、心理社会的因子、消化管 生理機能、健康状態・行動・認知などの多軸的、多因子的、経時的観点、すなわち心身医学的視点が大切で ある。 講演では、1)心身医学における機能性消化管障害の位置づけ、2)事例から学ぶ機能性消化管障害 の(心理)臨床、3)生理心理学における機能性消化管障害の謎解きについて、臨床医(消化器内科、心療 内科)、研究・教育者、臨床心理士のはしくれとして患者さんと共に楽しく格闘している演者の考えを語れ たらと思う。 |
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