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第2巻第1号 (2010)

幾何学的形態に対する視覚誘発電位~図形の形と空間的方位の効果~

伊藤元雄

アブストラクト

図形の形と空間的方位がオンセット視覚誘発電位(VEPs)に及ぼす効果を予備的に検討する試みとして、長さが等しい2種の輪郭統の幾何学的図形が下方視野(LVF)、上方視野(UVF)のいずれかに提示された。図形は菱形、楕円であり、各々図形はいずれかの視野で総長(垂直)、横長(水平)の配列になるようにセットされた。8名の兆験参加者を対象に、一過性VEPが後頭隆起部(I)、それより上方5、10、15cm(15,110,I15cm)から基準導出された。図形条件とブランク(対照)条件との総平均差波形が記録された。LVFでは初期陰性波N1(平均頂点潜時134ms)、後期陽性波 P2(232ms)、UVFでは初期陽性波P(128ms)が取得された。LVF、UVF別に、形(菱形・楕円)×方位(垂直・水平)の2要因 ANOVA が振幅に対して実施された。主要な結果は次の様であった。振幅に関して、LVFのN1では菱形が楕円よりも、また垂直が水平よりも統計的に有意に大きかった。UVFのPでは垂直が水平より仏 さらにLVFのP2では菱形が楕円よりも有意に大きかった。N1の場合、寄与率は形が約53%、方位が約47%であった。形と空間的方位の要因の効果については、両者がともに大きく影響しており、いずれかの要因のみに起因するものではないと結論づけられる。

キーワード形の知覚、視覚誘発電位、刺激提示位置、空間的方位

慢性期在宅失語症患者の家族介護者における介護負担感とその関連要因に関する検討~Zarit介護負担尺度日本語版(J-ZBI)を用いた予備研究報告~.

辰巳寛、山本正彦

アブストラクト

目的
慢性期在宅失語症患者の家族介護者の介護負担態とその関連要因を明らかにする目的で、外来通院中の失語症患者および家族介護者に対して高次脳機能やADL機能などの評価および質問紙調査を実施した。

対象と方法
対象は、一般病院を外来通院していた在宅慢性期失語症患者25名と、その宗族介護者 25名である。患者に対しては、標準失語症検査(SLTA)と実用的コミュニケーション能力(CADL)短縮版、知能評価(RCPM)、抑うつ評価(CES-D)と、QOL評価尺度(SAQOL-39)の主観的評価を行った。家族に対しては、介護負担態(J-ZBI)と家族のQOL(SF-36)、 SAQOL-39の客観的評価、家族の抑うつ評価(CES-D)、患者の精神症状の評価(NPI-Q)を実施した。対象をJ-ZBIの総得点に基づき高負担群(21点以上)と低負担群(20点以下)の2群に分類し、各項目における有意差を求めた。またJ-ZBIと各評価項目との相関関係を調査し、さらに介護負挺然の予測因子を明らかにするために重回帰分析を行った。

結果
高負担群と低負担群との間で有意な差を認めたのは、主病巣部位とFIM運動項目、CADL短縮版、家族のCES-D、客観的SAQOL-39の psycho-socia1スコア、NPI-Qの重症度と負担度であった。全体の介護負担態と有意な相関を認めたのは、FIM運動項目、CADL、家族教育年齢、宗族のSF-36、家族のCES-D、NPI-Qの重症度と負担度であった。重回帰分析の結果、患者のFIM運動項目と家族のCES-Dが関連因子として抽出された。一方、患者の言語障害の重症度や知的機能との関連は認めなかった。

結論
慢性期の在宅失語症患者を支える家族は、患者のADL運動機能と、家族の気分(抑うつ)状態により介護負担度が強く影響を受けることが判明した。失語症患者を介護する家族の介護負担態を低減するためには、患者のADL機能の維持・向上を図ると共に、家族の心理的・精神的支援の充実が重要である。失語症のリハビリテーション医療では機能障害に対するアプローチだけではなく、家族心理教育など家族援助も考慮した包括的サービスが求められている。

キーワードaphasia, caregiver's burden, activities of daily living, communication disorders

幼児のう蝕有病と生活習慣・生活環境複合要因

大須賀恵子、千野直仁

アブストラクト

目的
幼児のう蝕有病に関わる生活習慣・生活環境の複合要因を検討した。

対象と方法
対象は、1997~2001年度に出生し、1.6識見健康診査(以下弦診)、3識特設診の両方をN町で受診した232名の幼児である。方法は、母子管死票に記載されている弦診データ103項目中から、 1.6識見健診・3識見弦診時における、歯科弦診結果および母親が記入した問診票から生活習慣、生活環境、フッ化物歯面塗布回数等を抽出しロジスティック回帰分析等を用いて分析した。

結果
3歳児弦診時におけるう蝕の有無を反応変数とし、その規定因と考えられる1.6歳児弦診時点の問診票をもとに、11項目への反応項を説明変数とするロジスティック回帰分析により分析したところ、幼児の居住地が都市的地区では、3歳時におけるう蝕の発生が農村的地区のオッズの約3害q (95%CI 0.144-0.648)、「母乳やミルクを飲みながら寝る」(以下、飲みながら寝る)のオッズは、このような生活習慣がない場合の約4倍(同 1.564-9.979)、昼間保育者が母親か保育所でのオッズは、祖母の約3割未満(同0.098-0.689)、1日の間食が2回以下の子どものオッズは、3回以上の場合と比べて約4割(同0.171-0.910)であった。さらに、3歳時のう蝕の有無とそれ以外の変数すなわち 1.6歳時の生活背限・生活環境についての規定因候補変数間の関連性を分析したところ、1%以上の高い水準で有意な関連のみられる変散財は、「哺乳瓶の使用」と「飲みながら寝る」、「祖父母との同居」と「昼間保育者の違い」であり、5%以上の高い水準で有意な関連のみられる変数対は、「間食時間」と「間食回数」、「居住地区」と「哺乳瓶の使用」、「哺乳瓶の使用」と「間食時間」、「飲みながら寝る」と「間食時間」、「哺乳瓶の使用」と「1日平均牛乳摂取量」であった。う蝕のある幼児78名の内84.6%が複数のう歯を有していた。また好ましくない生活習慣の幼児は、複数のう歯を有している割合が高くなっていた。

考察
幼児を取り巻く生活習慣・生活環境が複合的に作用し、幼児のう蝕の発生にかかわっていることが示唆された。

結論
う蝕予防のためには、好ましくない生活習慣とその相互関連性を考慮に入れ、生活習慣・生活環境の改善を図ることが重要課題であると考える。 

キーワード幼児,う蝕,生活習慣,生活環境,複合要因

構音障害に対する治療効果の音響学的考察

加藤理恵・田中誠也・高見観・杉山裕美・北村洋子・ 南克浩・古川博雄・辰巳寛・山本正彦

アブストラクト

左側口唇口蓋裂に対して、器質性筒音障害の言語聴覚学的評価と筒音訓練を施行した。さらに、評価および治療に際して、音声を録音したものを音響学的に分析し、以下の結果を得た。

  1. 筒音訓練によって、筒音不全の状態から子音部の筒音操作の獲得にいたったものの、呼気鼻漏出による筒音の歪み(子音の弱音化)、開鼻声は最後まで残存した。
  2. 鼻咽腔閉鎖不全に対して、PLP(palatal lift prosthesis : 軟口蓋挙上装置)を襲用したが、使用時聞か少なく呼気鼻漏出は残存した。
  3. 筒音訓練を健常見の正常筒音獲得順に従って施行したところ、正常筒音獲得の時期は健常見に比べて遅れるものの、子音の獲得順序や速度に大きな差異は認められなかった。
  4. 筒音機能の評価時に採取した音声サンプルを音響学的に分析した結果、聴覚印象上は子音の弱音化である部分に摩擦成分(摩擦音化)が観察された。筒音訓練によって、子音部の雑音区間のburst化か見られるようになった。母音のフオルマント周波数の変化には、筒音訓練による改善は認められなかった。


これらの所見から、音響分析によって、筒音訓練を主体とする言語治療による構音獲得過程がより詳細かつ客観的に明らかになった。今後のさらなる良好な筒音程得には、鼻咽腔閉鎖不全への根本的アプローチが望まれる。

キーワード口唇口蓋裂,音響分析,構音訓練,鼻咽腔閉鎖不全,子音の弱音化

Controlling the Two Kinds of Error Rate in Selecting an Appropriate Asymmetric MDS Model

Naohito Chino, Shingo Saburi.

アブストラクト

ASYMMAXSCAL is revisited first, which is a maximum likelihood asymmetric multidimensional scaling method recently proposed by Saburi and Chino (2008). It is proven that the likelihood ratio test statistic on the quasi-symmetry hypothesis proposed by Caussinus (1965) and that of a marginal homogeneity hypothesis suggested by Andersen (1980) are mutually independent statistically. A possible application of this theorem is indicated to asymmetric relational data in the context of asymmetric multidimensional
scaling.

キーワードtwo kinds of error rate, asymmetric MDS, statistical independence of statistics, completeness

訂正

上記論文の本文 p.40 右側下から6行目から3行目の、以下の文章を削除
However, these two statistics are not statistically independent at least exactly,  because GMH is not the function of the complete sufficient statistics, fi? , f?j and fij +fji.

一対比較データのための最尤非対称多次元尺度構成法の適用事例~東アジア諸国及び関係国間の友好度データの分析~

佐部利真吾、千野直仁

アブストラクト

本研究では、一対比較データのための最尤非対称多次元尺度構成法の適用事例を示す。この方法はAICにより様々な候補モデルを比較でき、また各種対称性仮説を検定することができる。本研究ではこの方法を、拡張された完全三組法により収集した、中国、日本、北朝鮮、ロシア、韓国、アメリカ間の友好度データに適用した。対称性検定の結果、いくつかの対称性仮説は棄却されず、他の対称性仮説に対する検定では概ね有意傾向であった。AICにより、3次元ユークリッド距離モデルが最適モデルとなったものの、3次元のOkada & lmaizumi(1987)によるモデルもほぼ同じAICの値を示した。これらの結果は同様の関係を扱った先行研究の結果と比較された。

キーワードasymmetric multidimensional scaling, maximum likelihood method, paired comparison

Stop刺激に対する初期P3と後期P3の分析~二重課題法による検討~

伊藤史、木田光郎

アブストラクト

stop/no stop様式を用いた弁別反応課題とカウント課題を同時に遂行させる二重課題事態を設定し、兆験参加者37名の被験者からStop刺激に対する事象関連脳電位P3を測定・分析した。no stop刺激に対するP3(伊藤・赤嶺・木田、2008)と同様に、2つの下位成分、初期P3(頂点居待 360ms)と後期P3(頂点潜時540ms)が出現した。stop刺激に対する初期P3振幅は、二重課題条件下において困難度・負荷量の増加に件って減少したが、後期P3はその影響を受けなかった。後期P3成分に反映される処理機能は、刺激処理機能(初期P3)とは異なった資源を使用したものと推測される。また、この結果を二重課題条件下で観察されたno stop刺激の後期P3(振幅増大)およびno go刺激の後期P3(変化なし)(伊藤・木田、 2006)の結果などから、反応の実行の有無が振幅に影響する要因となる。今後の課題としたい。

キーワードdualtask,Stop/NoStop task, early P3, 1ate P3

運動指導者養成科目における映像を用いたプレゼンテーション能力向上の効果

伊藤秀郎・内藤正和・水藤弘吏・長崎大・佐藤祐造

アブストラクト

現在、特定健康診査・特定保健指導の実施が義務化され、その指導を批う運動指導者の養成が急務の課題となっている。これまで映像フィードバックを用いる方法は自分自身を客観的に確認でき注意点を認識できると報告されていることから、一般的なプレゼンテーション能力の向上にも有用と考えられる。そこで本研究では運動指導プレゼンテーション能力の向上に対する映像フィードバック法の有用性を検討することを目的とし調査した。調査から2つのことが示唆された。1つ目は映像フィードバックを繰り返し行うことによって、特に言語についてイメージと実際の違いを認知し、具体的な課題を設定できたため、技能向上に繋がったと考えられる。2つ目は映像フィードバックを行うことで「学び方」及び「成果」を感じられた点が要因と考えられた。すなわち、映像を学生自身で確認したことによって課題を自覚し、自主的に学んだ結果、技能の伸びを感じることができたと考えられる。
以上のことより運動指導者養成科目において、映像フィードバックを用いることは有用であることが示唆された。

キーワードexercise trainer, presentation,VTR,feedbaek,videotaping

肥満学生における生活習慣病予防教室の有用性

西口雄生・長崎大・内藤正和・水藤弘吏・佐藤祐造

アブストラクト

運動不足や食生活の偏りといった生活習慣の乱れから肥満者が増加している。本学においても肥満者は全体の約10%を占めている。そこで本研究では本学肥満学生を対象に生活習慣病予防教室を開催し、生活習質店予防のための運動指導および食事指導の有苛胞を検討することを目的とした。

対象者は本学学生(男性7名、19土1歳、BMI30.9土5.4),実施期間を12週間とし、運動指導と食事指導を行った。運動指導プログラムはレジスタンス運動および中等度有態素性運動とし、1回 60~90分の運動を週に3回以上行うよう指導した。トレーニング管理は運動実施記録日誌および携帯電話・インターネットを利用した報告用webページを用いた。食事指導プログラムは医師により週1回実施した。調査項目は教室の前後に血液生化学検査、形態測定、体力測定、教室終了6ケ月後にアンケート調査を実施した。

結果は、HDL-c、臍位周囲径、全身持久力、筋力、筋持久力に有意な改善を認め、体重は減少傾向が認められた。アンケート調査において、運動継続は、運動指導により週2日、1時間程度の運動を継続する者が5名確認された。また、食事指導により食事の規則化がなされ、その継続性が確認された。

以上のことから、本教室における肥満学生を対象とした生活習慣店予防教室は、運動習慣を形成し、食事が規則化され、 HDL-c上昇などによる指貫代謝の改善、全身持久力・筋力など体力の向上に有効であった。したがって、本教室は正しい生活習慣を形成し、健康管理能力を獲得できる可能性が示唆された。

キーワードclass preventing lifestyle-related diseases, lifestyle-related diseases, obesity students,exercise program,exercise adherence,website,mobile phon

養護教諭による高校生への性教育の実践と効果の検討

下村淳子

アブストラクト

愛知県内の高校生に対して行った性教育の方法をまとめたレポートである。養護教諭が196名の生徒に性教育を行ったところ98%が「良かった」と答九九。また、その理由を彼らに尋ねたところ、養護教諭が彼らの気持ちに配慮したために「安心して学ぶことができた」と答えていた。以上の結果から次のことが明らかになった。私たちが高校生に性教育を行う場合は、事前準備を十分に行うことと、内容を十分に検討して性器教育に偏らないこと、コミュニケーションの大切さを理解できるような目的で行うことが重要である。

キーワード性教育,高校生,養護教諭

運動・栄養・休養の包括的指導を行う健康づくり教室が運動継続に及ぼす影響

高橋孝郎・内藤正和・長崎大・水藤弘吏・佐藤祐造

アブストラクト

現在、国民の健康への関心が高まる中、「健康寿命」の延仲を目的とした国民健康づくり施策として「健康日本21」が掲げられている。さらに国民の健康づくり対策の法的基盤整備のため「健康増進法」が施行され、運動・栄養・休養を健康づくりの三本柱とし、健康づくりを継続的に行う生活習慣の獲得を重要課題としている。そこで本研究では栄養・食生活、身体活動・運動、休養・こころの健康づくりの3つの領域を包括的に盛り込んだ健康づくり教室を実施し、運動継続への影響を明らかにすることを目的とした。対象者は「なごや健康カレッジ」に参加を希望した名古屋市民19名で平均年齢は59土9識で8週間、運動・栄養・休養を包括的な指導を行う健康づくり教室のプログラムを展開した。その結果、研究から2つのことが明らかとなった。1つ目は、運動・栄養・休養の3領域を包括的に指導することで、健康への意識が高まり、運動頻度が増加し、運動継続への影響がみられた。2つ目は本プログラムによって参加者が自発的に健康づくりに取り組むようになり、運動継続がなされた結果、体重、腹部周囲径が有意に減少した。以上より運動・栄養・休養の包括的指導を行う健康づくり教室が運動継続に及ぼす影響の可能性が示唆された。

キーワードhealth support program, exercise adherence, exercise,nourishment,rest

小学校におけるいじめ(4)

酒井亮爾

アブストラクト

「いじめ」は、どの社会でもどの世代にも昔からみられたが、2006年には小・中学校でいじめを苦にした自殺が相次いで起こり、再度、いじめが社会問題としてセンセーショナルに取り上げられた(酒井、2007)。ここでは、小学生を対象にいじめに問する質問紙調査を実施した。質問紙はいじめに関する12の下位項目といじめに関する意見の自由記述から構成されていた。調査対象は愛知県内の3つの小学校の4、5、6年生児童303名(男子153、女子150名)であった。

その結果、どの学年でも9割以上の児童が「友だちをいじめることはいけないことである」と考えていた。また、いじめはいけないと認識している児童の中で約3割は、いじめられる子に悪いところがあっても、いじめはいけないことであると考えている。それに反して、「いじめられる人も悪いところがあるのだから仕方がない」と答えた児童は6割強であり、こう考える児童は学年が高くなると多くなっていた。約8割の児童は自分がいじめのターゲットになることを恐れており、自分はいじめに関わりたくないと思っている。

児童にはいじめをやめるように言いたいという気持ちとそうしたらいじめが自分に向けられるのではないかという恐れが共存している。そのため、児童は先生に対していじめを見たり関いたりしたらもっと注意してぽしいという思いを抱いている。

6年生では、いじめる側のいじめ方がより巧妙になり、傍観考や観衆にはいじめとして見えにくいようにカモフラージュして行われているから、道びなのかいじめなのかがはっきりしない場合が多くみられるようである。

「いじめられたら仕返しをすればいい」と答えた児童は約5割弱であり、学年があがるにつれてそういう意識が高くなっていく。

小学生の場合、条件さえ整えば、誰でもがいじめをしたり、いじめられたりする可能性をもっているといえる。したがって親や教師からの積極的な働きかけがいじめ防止には有効に作用するであろう。また、児童自身がいじめ防止のために教師の積極的な介入を求めているといえる。

自由記述の結果では、いじめの被害者を擁護する意見(「被害者はかわいそうだ」、「なぜ被害者がいじめられるのかわからない」など)が多くみられた。また、もっとも多かった意見は、いじめは絶対にいけないことであり、被害者の気持をもっと考えるべきであるというものであった。

キーワードいじめ,聴衆,傍観者,小学生,小学校

健康日本21の問題点

玉川達雄

アブストラクト

「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」は厚生労働省の健康施策である。その目的は、病気や障害による社会的な負担を減らし、国民の健康寿命を延長することであり、また病気予防の重点は早世に置くべきであるとしている。疾病による死亡、罹患、生活習慣上の危険因子などの健康に関わる具体的な目標を設定したが、その後の中間報告では目標に近づくどころか逆に遠ざかる項目の多いことが明らかになった。そこで厚生労働省は目標に達しない保険者には罰金を課すという前代未聞、世界初の特定健診(いわゆるメタボ健診)を平成20年から開始した。はたして健康日本21は成功するのであろうか。栄養・運動などの問題点について検討した。

キーワードHealthy JaPan 21, National health care movement, 1ifestyle,metabolic syndrome

学校保館活動におけるメタボリックシンドロームの概念の重要性

佐藤祐造

アブストラクト

近年における生活の“文明化”に体う身体運動量の減少(sedentary 1面)と欧風化された食事は内臓脂肪の蓄積を招彫メタボリックシンドローム、2型糖尿病、高血圧、指貫異常豆などの生活習慣病を全世界的に、急激に増加させており、その対策を迅速に、しかも全世界に行うことが求められている。

メタボリックシンドロームの成人の診新基準は、内臓肥満(証囲:男性≧85cm,女性≧90cm,男女とも内臓脂肪面積≧100cm2に相当)に加えて、以下のいずれか2項目、脂貫異常症(高脂血豆)(中性脂肪(TG)≧150mg/dl、HDL-コレステロール(C)<40mg/dl)、高血圧(≧130mmHg,>85mmHg)、高血糖(空証跡血糖≧110mg/dl)となっている。

大関武彦教授(浜松医大八よ、小児期メタボリックシンドロームの診断基準は、(1)証囲の増加(80cm 以上)を必須項目とし、(2)TG 120mg/dl 以上,ないしHDL-C 40mg/dl未満、(3)収縮期血圧125、ないし拡張期血圧70mmHg以上、(4)空腹跡血糖100mg/d1以上の3項目のうち2項目としている。

食事の適正化と身体トレーニングの継続は内臓脂肪を効率的に減少させ、個体のインスリン抵抗性改善を介し、インスリン抵抗性関連のメタボリックシンドローム/生活習慣病および最終段階である心臓血管障害の発註予防に有用である。

食事・運動療法教育実施に際しては、学校医の指導のもと、養護教諭が中心となり、体育、家庭科教員(栄養士)等により「メタボ教育チーム」の編成を行い、個々の生徒の病態に応じた、継続的かつ個別的(テーラーメイド)な指導を実施する。

キーワードschool health, metabolic syndrome, lifesty1e education, diet, physical exercise

ERP-P3 for Pictures varies in Amplitude According to Stimulus Content

Aki Akamine, Mitsuro Kida.

アブストラクト

This study explored whether the P3 event-related brain potential (ERP) is sensitive to the contents of pictures presented during a discriminative reaction time (RT) task.In the Stop-cars task,five categories of picture (cars,people,electronics,nowers,and landscapes) were presented randomly,with probabilities of .40,.30,.10,.10,and .10,respectively. Thirty-one participants were asked to respond to every stimulus that was not a car by pressing a button. Another twenty-one participants also engaged in a Stop-figures task, which was identical to the Stop-cars task except that simple geometric figures replaced the car stimuli. ERPs for equiprobable stimuli (electronics,flowers,and landscapes)were analyzed.Two types of P3s were seen at around 380 ms and 520 ms after stimulus onset. The first component (early P3) featured a parietal maximal and seemed equivalent to the “classica1 P3"(P3b).The second component(1ate P3) was more anteriorly distributed. For both tasks, the amplitudes of early P3 differed across the stimuli. Additionally,the early P3 elicited by electronics stimuli was larger during the Stop-figures task than during the Stop-cars task. lt is well known that P3 (P3b) amplitudes can vary as a function of stimulus probability during a simple oddball task. However,the present results suggest that P3 amplitude for complex pictures in a discriminative RT task might be sensitive to stimulus content rather than probabilities.

キーワードevent-related brain potentials; early P3; 1ate P3; picture content; stimulus probability

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