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第7巻第1号 (2015)

超皮質性感覚失語における喚語機能に関する縦断的研究──名詞・動詞の能力乖離について──

木村 航、辰巳 寛、山本 正彦、黒崎 芳子

アブストラクト

 名詞と動詞の喚語能力に乖離を示した失語症患者に対して,名詞と動詞の呼称課題における正答率
と誤反応の様相変化について経時的に分析を行った.対象は左側頭- 頭頂葉皮質下出血により超皮質
性感覚失語を呈した74 歳の男性である.評価は,失語症語彙検査の名詞・動詞表出検査および名詞・
動詞聴覚的理解検査を用いて,意味セラピーによる言語治療介入の前後期に2 回実施した.その結果,
呼称課題の正答率は,2 回の評価ともに名詞が動詞に比べて有意に低下し,言語療法による治療効果
も乏しかった.呼称課題における誤反応の質的分析では,名詞と動詞ともに語健忘や無関連性錯語が
減少した一方,意味性錯語が増加したことから,意味概念水準での賦活と抑制に質的変化が生じてい
る可能性が示唆された.本研究にて,名詞の喚語能力における左側頭- 頭頂葉の重要性と,名詞と動
詞の喚語処理過程の相違を再確認した.失語症の喚語訓練においては,呼称課題における誤反応の質
的分析を行い,喚語機能に影響を及ぼす意味概念水準の変容を適宜に把握しながら治療計画を立案し
ていくことが重要と考えた.

キーワード名詞,動詞,呼称能力,超皮質性感覚失語,誤反応

Effect of Maximal Intermittent Handgrip Training on Muscle Sympathetic Nerve Activity

Tesshin Hachiya, Andrew P Blaber, Mitsuru Saito

アブストラクト

Aim: This study tested the hypothesis that maximal intensity conditioning does not alter increased muscle sympathetic nerve activity (MSNA) induced by central command at the same workload using 15-s strenuous intermittent handgrip contractions to evaluate training effects. Methods: Eleven males participated in this study. Handgrip contractions with 75% maximal voluntary contraction (MVC) were performed to evaluate the training effects on the MSNA responses before and after maximal intermittent handgrip training. The subjects trained three times a day, 4 days per week, for 4 weeks repeating maximal 10-s handgrip exercises 10 times during each session. The MSNA was recorded from the left tibial nerve using a microneurography technique. MSNA, heart rate and blood pressure data during a 15-s contraction were divided into two segments to compare the responses in each portion. The non-dominant hand was trained and the dominant hand used as a control. Results: The MSNA responses induced by central command during a 15-s intermittent contraction increased during the first bout from the baseline through five repetitions, but the enhancement in the MSNA did not change after the training program. Conditioning did not alter the maximal muscle force and heart rate, but did alter the blood pressure response. Conclusion: We found no change in the MSNA increment under the same exercise load with small training effects. The exercise scheme with 75% MVC intermittent strenuous exercise increased the MSNA response with central command involvement, suggesting that 15-s strenuous intermittent contractions were appropriate for evaluating MSNA training effects.

キーワードMSNA; central command; strength training; intermittent handgrips

障害者ケアマネジメントを担う相談支援専門員の意識並びに現状と課題について

城戸 裕子、中島 健一、小佐々 典靖

アブストラクト

 本研究の目的は,障害者ケアマネジメントに従事する相談支援専門員に焦点をあて,専門職の意識
や専門職間の連携状況などの調査から相談支援専門員の意識,現状と課題を明らかにすることである.
ケアマネジメントを担当する相談支援事業所の相談支援専門員に調査を行った結果,ケアマネジメン
ト対象者の範疇の差異が介護保険法と障害者総合支援法には存在し,特に障害者ケアマネジメントに
は幅広い対象者支援が必要であることが明らかとなった.また,ケアマネジメント担当者の資格要件
は高齢と障害でほぼ類似しているが,教育プログラムが異なり,相談支援専門員には地域さも生じて
いることが明らかとなった.望ましい制度政策の仕組みにおいては,重なり合う部分があるが,それ
ぞれ独立している支援を築いているという認識が明らかとなり,障害と高齢を制度として統合するこ
との難しさがケアマネジメントの時点で認識されていることが明らかとなった.
 今後は,相談支援専門員が考える連携の定義と介護支援専門員が考える連携の定義をそれぞれ明ら
かにすることで,地域生活支援に関わる保健医療福祉専門職が考える専門職間連携に必要不可欠な要
素を抽出することが求められる.

キーワード障害者マネジメント,高齢者マネジメント,地域生活支援

A simulation study of a Hilbert state space model for changes in affinities among members in informal groups

Naohito Chino

アブストラクト

 This is the revised version of the supplement of the paper which appeared in the proceedings of the workshop on Problem Solving through the Applications of Mathematics to Human Behaviors. In that supplement we added its motivation, tables and figures, and so on to the paper in order to complete it. Various solution curves in the figures suggest that our complex difference equation model covers enormous possible scenarios for the formation and dissolution of affinities among members of informal groups. Since the original model (Chino, 2002) assumes not only the finite-dimensional Hilbert space but also the indefinite metric space as the state space, this model might have wide applicability to all sorts of phenomena in which asymmetric relationships among objects are essential. An extended version of our model is also proposed in that supplement, in which a constant disturbance term is added. It is evident that this term enriches possible scenarios curiously and drastically. Differences between our model and the extant complex difference equation models are also discussed. Finally, we shall consider some open problems to be solved.

キーワードfinite-dimensional Hilbert space, indefinite metric space, complex difference equation model, longitudinal asymmetric relational data matrices, n-body problem, Chino and Shiraiwaʼs theorem, tripartite deadlock, bifurcation theory, stability problem, holomorphic function

ブレビバチルスBIC 発現系を用いたエンビジンの 部位特異的組換えタンパク質の発現と精製

市原啓子

アブストラクト

 エンビジンはタンパク質の構造的な特徴からイムノグロブリン(Ig)スーパーファミリーに分類される細胞表面の1 回膜貫通型糖タンパク質である.モノカルボン酸輸送体2 の協同因子や,神経筋接合部位の形成における調節因子として機能することが報告されているが,実際のエンビジンの機能は良くわかっていない.さらに,細胞内ドメインの結合タンパク質に関しては知見がない.膜タンパク質の相互作用を研究するにあたり,膜タンパク質全体を精製することが困難なことから,部位特異的な組換えタンパク質が広く用いられている.
 エンビジンについては,pNC-HisT を発現ベクターとしI-set ドメインを含む領域をブレビバチルス発現系でrEmb55 タンパク質として発現させることに成功しているが,その収量は文献的に報告されている他のタンパク質と比較して低かった.近年,ブレビバチルスではbrevibacillus in vivo cloninng(BIC)法が開発されている.タンパク質を効率よく細胞外に分泌させるためには,適切な分泌シグナルを目的とするタンパク質と組み合せることが重要である.BIC 法では,それぞれが異なる分泌シグナルを含む4 種類の直線状発現ベクターを利用することができるので,目的とするタンパク質を高発現するクローンを簡便に選択することができる.本研究では,ヒスチジンタグ付きのタンパク質として,2 つの組換えエンビジンタンパク質をBIG 法で作成した.一つはI-set ドメイン,もう一つは細胞内ドメインの組換えタンパク質である.
 I-set ドメインの場合には,最も強い発現はpBIC 4 の分泌シグナルだった.これはpNC-HisT と同じ分泌シグナルである.BIC 系でのrEmb55_BIC の収量は,rEmb55 の収量と同等だった.形質転換菌の増殖中やカラム精製の間,rEmb_BIC は分解が起こっていた可能性が高い.このような不安定性が収量の低さの理由と考えられる.細胞内ドメインの組換えエンビジンタンパク質の場合,pBIC 3 の分泌シグナルをもつクローン(BIC 3 - 8)で最も発現量が多かった.BIC 3 - 8 を100 ml の2 SY 培地で培養すると,カラム精製のあとの組換えタンパク質rEmb_Ct の収量は20 mg だった.
 以上の結果から,BIC 法は部位特異的な組換えタンパク質の産生には都合のよい方法であるが,タンパク質の収量そのものはそれ自身のアミノ酸組成や構造的な安定性に関係することがわかった.

キーワードエンビジン,ブレビバチルス,組換えタンパク質発現

管理栄養士養成大学における災害時の役割と非常食備蓄状況の検討

森 圭子

アブストラクト

【背景と目的】:2011 年3 月に起こった東日本大震災以降,災害時のための非常食備蓄拡充の動きが全国に広がっている.大災害時には病院や企業でない大学においても,多くの学生・教職員が一時的な帰宅困難者になり,さらに大学周辺地域の救助活動の担い手として求められることも予想される.しかし,大学の備蓄の実態はほとんど明らかにされていない.本研究の目的は, 災害時の栄養・食事支援を担う管理栄養士を養成する日本の大学を対象にして,災害時に果たす大学の役割の認識と非常食備蓄状況の実態等を明らかにすることである.
【方法】2012年7 月に,全国129の管理栄養士養成大学の庶務課宛に質問紙調査を実施し,同意と共に回答が得られた50大学を対象とした.調査内容は被災経験の有無,学生・教職員数と平日平均学生・教職員数,災害時に果たす大学の役割,避難所指定・連携・災害時対応マニュアルや非常食備蓄の有無と内容である.統計解析にはSPSSver.22を用いて,マンホイットニーのU 検定,χ2 検定,t 検定を行った.有意水準は5%未満とした.
【結果】6 割の大学で非常食を備蓄していたが,量は絶対的に不足しており,災害時における学生・教職員向けへの食事の支援に対する大学としての意識は低かった.市町村との連携は6 割でされていたが,大学間および大学内連携は1 割しか進んでいなかった.
【結論】管理栄養士養成大学は,起こりうる大災害に備えて非常食の備蓄や食の支援体制の連携を積極的に進めていくことが求められる.

キーワード管理栄養士,養成大学,災害,非常食,備蓄状況

大学生の愛着タイプと就職活動ストレスの関連について

齋藤 眞、近藤 規正

アブストラクト

 本研究では,大学生の愛着タイプと就職活動へのストレス反応との関連について検討した.就職活動中の大学4 年生に質問紙調査を行い,愛着タイプの分類,就職活動ストレス,成人愛着行動について調べた.その結果,愛着タイプ(安定型,拒絶型,とらわれ型,恐れ型)に対応する就職活動ストレスの特徴は見いだされなかった.ただし,本研究における大学生全体の特徴として,他者との比較での焦り・落ち込みや身体的な疲労よりも,就職活動自体の不首尾や自分の限界を思い知ることにストレスを感じやすいことが分かった.また,安定型の愛着スタイルでは,とらわれ型の愛着スタイルと比べて,不機嫌行動が明らかに少なくなっていることや気づかい行動も少なくなる可能性が見いだされた.就職活動での各種ストレスの度合いによる成人愛着行動の特徴は見いだされなかったが,不機嫌行動が全体として少ない背景や身体的な疲れや他者について語ることで間接的に相談行動がしやすくなる可能性が考えられた.考察として,就職活動という厳しい現実に直面して自分自身のことを考えざるを得なくなったときに,それを回避したいという気持ちに大学生が襲われて,自分の気持ちを認めたり愛着対象に支援を求めたりするところで素直にいかない可能性が議論され,愛着タイプや愛着対象も考慮して愛着行動を促すための検証をさらに行ってゆく方向性が示唆された.

キーワードadult attachment, attachment style, adult attachment behavior, job-hunting stress

小学生の食育推進のための栄養教育方法の検討

酒井 映子、森岡 亜有、内藤 正和、北川 千加良、末田 香里

アブストラクト

【背景と目的】
 小学校低学年の食育推進のための栄養教育プログラムについて検討するためにSequence に着目して,講義形式と体験形式の授業形態の順序を入れ替えることにより,理解度や実践度にどのような影響を及ぼすかを明らかにすることを目的とした.
【方法】
 調査対象は栄養教諭が配属されている2 校の2 年生男32 名,女29 名の合計61 名(Y小学校33 名,T小学校28名)である.調査期間は平成24年5 月中旬から7 月中旬とした.Y校では最初に講義形式,次に体験形式の授業を行い,T校では先に体験形式,後に講義形式の授業を実施した.授業テーマは「朝食に野菜を食べよう」である.授業実施前と実施後に食育の実践度および授業評価に関するアンケート調査を行い,Sequence による差異を比較検討した.授業は教育者によるバイアスを除くために同一の者が担当した.
【結果】
1.授業前の食育の実態には両校に顕著な差はみられなかった.
2.講義型授業を先に行ったY校では,「嫌いな野菜が3 つ以上ある」児童が授業後に減少していた(p<0.05).
3.体験型授業を先に行ったT校では,「学校がある日の朝ごはんに肉・魚・卵の赤色のグループの食べ物を食べた」児童が授業後に増加していた(p<0.05).
4.T校では「家で食べたことのある野菜の数」が授業後に有意に多くなっていた(p<0.05).これは,野菜に対する興味が増したことや野菜の名前と食経験が結びついたことにより実質的な数の増加に繋がったものと考えられる.
【結論】
体験型授業を先に行った方が児童の興味や意欲などが高まり,その後の講義型授業へ積極的に取り組むようになることが示唆された.

キーワード栄養教育プログラム,シークエンス,小学生

口腔ケアによる口腔状態の改善効果に関する研究──第4報:専門的口腔ケアの効果について──

牧野 日和、早川 統子、古川 博雄、辰巳 寛、山本 正彦

アブストラクト

  Aiming at developing methods to prevent aspiration pneumonia, the authors investigated and conducted statistical analysis on the effect of Professional Oral Health Care (POHC) on the existence of tongue coating as well as halitosis before and after POHC. The study targeted 39 people. The existence of tongue coating and halitosis was checked before POHC and 4 weeks after POHC. The results show that the rate of patients with tongue coating at the time of hospitalization was reduced from 94.9% before POHC to 66.7% after POHC. There was a statistically significant difference in the existence of tongue coating between the time of hospitalization and after POHC. The rate of subjects with halitosis was also reduced from 87.2% at the time of hospitalization to 48.7% after POHC. There was a statistically significant difference in the existence of halitosis between the time of hospitalization and after POHC. The study results indicate that there is a significant need for hositals to introduce POHC and that POHC would have an effect on improving the patientsʼ tongue coating and halitosis status within a month.

キーワード

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