このページの目次
- 関与権限と言語表現 -議論の発展とリスク・コミュニケーションへの応用-
- A県T市における肥満傾向児出現率の学校間較差と生活習慣との関連性
- 防風通聖散がOtsuka Long-Evans Tokushima Fatty (OLETF) ラットのインスリンシグナル伝達系のタンパク量に及ぼす影響
- トランス脂肪酸に関する調査及び実験的研究
- 学校のメンタルヘルスへの組織心理学的考察
- 大学生における職業志向と制御焦点の関係
- 青年期のソーシャル・サポート利用について(2) -原因帰属と自己開示-
- 米飯の食後血糖に及ぼす牛乳・納豆の摂食時刻
- 児童の6ヶ月間の発育状況と生活習慣との関連 -体重増加群と体重増加不良群との比較-
- 増えない野菜摂取増に向けての研究 -カット野菜について-
- 清潔に対する意識を高めるための指導方法に関する研究 -高校生のトイレ利用に関する意識調査から-
- 総合型地域スポーツクラブのNPO法人化とマネジメントの関連性に関する研究
- 言語聴覚臨床実習の実態調査 -学生アンケートに基づく報告-
岡本真一郎
アブストラクト
本稿は神尾(1990)の「情報のなわ張り理論」を修正した関与権限の概念について,岡本(2012)の議論を補足し,さらに発展させることを試みた.とくに,終助詞ネの使い分けに関して,関与権限が確信度とどのように関連し合うかを新たに検討した.また,聞き手の労苦を評価する表現への議論の発展の可能性も示唆した.そして,リスク情報のマスコミやインターネットでの伝達において,こうした表現がどんな問題を生ずるか,その点についてどんな研究を進めるべきかも論じた.
キーワード | 関与権限,情報のなわ張り理論,終助詞ネ,感謝,謝罪,リスクコミュニケーション |
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大須賀惠子、酒井映子、梅田 稔、佐藤祐造
アブストラクト
目的:A県T市における小学2年生の肥満傾向児出現率の較差と生活習慣との関連について検討した.
方法:対象は,A県T市における全5小学校の2年生494名(男266名,女228名).調査内容は平成22~24年度定期健康診断結果および養護教諭,管理栄養士が平成22年11~12月に実施した集合調査法による自記式生活習慣質問紙調査23項目である.身体状況に関する調査は,平成22年4月に実施された定期健康診断の記録表から身長・体重など必要項目を転記した.平成22~24年度調査対象校別全児童の体格は,T市教育員会からデータの提供を受けた.対象児童数は平成22年度 2,703名,23年度 3,012名,平成24年度 3,017名である.児童の体格については,性別,年齢別,身長別標準体重による肥満度の判定基準を用いた.分析にはSPSS PASW Statistics 19を用い, 学校(A~D校とE校)を従属変数,生活習慣を独立変数とした二項ロジスティク回帰分析などを行った.
結果:T市5小学校2年生494名の身体計測値を比較したところ,身長の平均値には差が認められなかったが,体重・肥満度の平均値および肥満傾向児出現率はE校の値が最も大きかった.そこで,A~D校とE校に区分して学校間較差の有無を分析した結果,肥満傾向児出現率がE校で有意に高率であり,中等度肥満出現率も高い傾向にあった.また,平成24年度T市小学校全児童の出現率をみると,E校はA~D校と比較して,3年生以外の全学年で高率であった.
二項ロジスティク回帰分析によって,A~D校とE校2年生の生活習慣の比較を行ったところ,E校の児童はA~D校と比較して「やわらかい食べものを好む」者4.4倍(p=0.04),「朝は自分で起きない」者2.1倍(p=0.001),「毎日夜10時前に寝る」者2.2倍(p=0.024),「家で本を読む」者2.1倍(p=0.018),「家族と一緒に食事をする」者3.6倍(p=0.039)であった.次いで,E校の普通児62名と肥満傾向児7名の生活習慣の差異をみたところ,p<0.05で有意差のあった項目は,「良く噛んで食べない」(普通児9.7%,肥満傾向児71.4%),「毎日夜10時前に寝ない」(普通児11.3%,肥満傾向児57.1%),「外より室内で遊ぶことが多い」(普通児41.7%,肥満傾向児85.7%)の3項目であった.
考察および結論:T市5小学校において、A~D校とE校を比較したところ,海岸近くの瓦業が多く,比較的経済的にも恵まれている学区であるE校で肥満傾向児出現率が高率であった.この要因を探るために,生活習慣23項目について検討を行った結果,好ましくない生活習慣として「朝は自分で起きない」という自律性に関する項目が抽出された.このことから,E校2年生に肥満傾向児出現率が有意に高かった要因は,生活習慣の背後にある自律性の問題が潜んでいる可能性がある.
キーワード | 小学生,肥満傾向児,生活習慣,学校間較差 |
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小林亮平、庄 秋栄、長崎 大、宇野智子、佐藤祐造
アブストラクト
背景:メタボリックシンドロームの基盤にある肥満はインスリン抵抗性を誘発する最も重要な危険因子である.先行研究において,漢方処方である防風通聖散(BTS)は抗肥満作用のあることが認められている.しかしながら,インスリンシグナル伝達系の影響については,ほとんど明らかにされていない.そこで本研究では,Otsuka Long-Evans Tokushima Fatty (OLETF)ラットを用いて,インスリンシグナル伝達系のタンパク量に及ぼす影響について検討した.
方法:13週齢の雄性OLETFラットおよび,その対照である雄性Long-Evans Tokushima Otsuka (LETO)ラットを無作為に4群に分けた:LETO+saline,LETO+BTS,OLETF+saline,OLETF+BTS.生理食塩水とBTSの経口投与を4週間実施した.血清FFAとインスリンシグナル伝達系のタンパク量を測定した.インスリンシグナル伝達系(IR-β,IRS-1,PI 3-kinase,Akt)のタンパク量は,Western blot法により定量した.
結果:血清FFAとインスリンシグナル伝達系(IR-β,IRS-1,PI 3-kinase,Akt)のタンパク量には有意差を認めなかった.
結論:これらの結果から,OLETFラットにおけるBTSの4週間の経口投与は,インスリンシグナル伝達系(IR-β,IRS-1,PI 3-kinase,Akt)のタンパク量には影響を及ぼさないことが示唆された.
キーワード | bofutsushosan, insulin-signaling, Otsuka Long-Evans Tokushima Fatty (OLETF) rat, skeletal muscle, Western blot technique |
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藤澤明子、村松 喬
アブストラクト
トランス脂肪酸の多くは硬化油の製造工程で水素添加によって生成されるものであり,多量摂取により心臓病罹患の危険性が増加することが判明している.我が国ではトランス脂肪酸の含有量表示が任意であるため,トランス脂肪酸を多数の人が無意識に摂取している可能性がある.本研究では,まず公的機関などのトランス脂肪酸に関する広報の現状について調査した.さらに,市場調査を行いトランス脂肪酸に関する表示がどの程度実施されているかを調べた.表示を行う,あるいはトランス脂肪酸含有量の低下を目指す先進的事例が幾つか認められたが,無表示のまま推移している事例も多かった.つぎに本学部健康科学科の学生を対象にしてアンケート調査を行い,トランス脂肪酸に対する意識と摂取状況を調べた.その結果,トランス脂肪酸の危険性を認識している学生は2割程度に過ぎないと判明した.また,工業製品由来のトランス脂肪酸の平均摂取量は1日あたり0.82gと推定された.
WHOはトランス脂肪酸の摂取量をエネルギー比1%未満が望ましいとしているが,この値を超えると考えられる者は94名中4名であった.調査は2011年と2012年の2回行ったが,経時的改善は認められなかった.さらに,肉類の揚げ物の調理後に油のトランス脂肪酸含量が増加するかどうかを調べた.サラダ油で揚げてメンチカツを作り,サラダ油を繰り返して使用したが150‒155℃の加熱ではトランス脂肪酸含量は増加しなかった.また,185‒196℃で1回揚げた場合にも,油は着色したがトランス脂肪酸含量は増加しなかった.この結果,最も普通に使われるサラダ油を用いた,家庭での通常の揚げ物においては,トランス脂肪酸含量の増加は無視できると結論した.
キーワード | commercial products, deep-fry, oil, trans fatty acids, intake by students |
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高木浩人
アブストラクト
本レビューは,学校のメンタルヘルスの問題について組織心理学的な視点から検討することの必要性を主張した.組織風土,校長のリーダーシップ,一次予防,二次予防といったいくつかの論点が検討され,将来の研究の方向性について議論された.
キーワード | 学校メンタルヘルス, 組織心理学, 組織風土, 校長のリーダーシップ, 一次予防, 二次予防 |
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三ツ村美沙子、高木浩人
アブストラクト
本研究の目的は,大学生の制御焦点と職業志向の関連について検討することであった.われわれは仮説として以下の3つを提示した.仮説1:促進焦点は職業志向の職務挑戦と正の関連を示す,仮説2:抑制焦点は職業志向の人間関係と正の関連を示す,仮説3:抑制焦点は職業志向の労働条件と正の関連を示す.重回帰分析の結果,促進焦点と職務挑戦との正の関連がみられ,よって仮説1は支持された.しかし,抑制焦点と人間関係,労働条件との関連はみられず,仮説2と仮説3は支持されなかった.今後の研究への含意について議論された.
キーワード | 制御焦点,促進焦点,抑制焦点,職業志向 |
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八田純子
アブストラクト
本研究では,原因帰属が自己開示に与える影響について検討することが目的である.大学生345名を対象とした質問紙調査より,大学生の多くが,開示内容によって適切に相手を選択していること,また問題の捉え方によっては開示をしたり抑制したりしていることが明らかとなった.これらのことから,適切に調節して自己開示をおこなえることこそが,健康的であると考えられる.青年期はストレスが多いものだが,それらについて,何事についても他者に頼るばかりでなく時には自身で悩んだり対処をしたりすることは,自己の成長にとって重要なことであろう.
キーワード | 自己開示,原因帰属,ストレス対処 |
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末田香里、伊藤みゆき、酒井映子、宇野智子、佐藤祐造
アブストラクト
【目的】米飯と同時摂取時に血糖上昇抑制効果があった牛乳ならびに納豆を,米飯摂食の15分前と15分後に摂取した時の効果を検討した.
【方法】被検者は21‒22歳の健康な男女学生で,2週連続で行なった.牛乳食と納豆食の2つのグループに分け,さらに2つのグループをそれぞれ2群に分けた.即ち牛乳食では牛乳200mlを米飯摂取前に飲む15分前牛乳群(A群:10名),米飯摂取後に飲む15分後牛乳群(B群:11名)に分けた.納豆食では納豆90gを用い,牛乳食と同様,納豆90gを米飯前に食べる15分前納豆群(C群:8名)と米飯後に食べる15分後納豆群(D群:6名)に分けた.1週目は米飯(基準食)(炭水化物50g),2週目は牛乳・納豆と米飯(炭水化物が50gになるように米飯量を調整)を摂取した.血糖,インスリン値および遊離脂肪酸を測定した.測定値の各時点での比較はpaired t-testで検定し,有意水準は5%以下とした.
【結果】
1.牛乳食の血糖・インスリン反応:15分前牛乳群(A群)においては,基準食と比較して,血糖値は米飯摂食時,摂食後30分,45分,60分において低値であり,血糖の上昇曲線下面積(GAUC)は低値であった(P<0.05).基準食と比較して,A群インスリン値は米飯摂食直時(0分)で高く,食後60分で低かった,そしてA群インスリンの上昇曲線下面積(IAUC)は低値を示した.15分後牛乳群(B群)の血糖値およびGAUCは,基準食と比較して,差はなかった.B群インスリン値は,米飯摂食後60分で高値であったが,B群IAUCは基準食IAUCと差がなかった.
2.納豆食の血糖・インスリン反応:15分前納豆群(C群)も15分後納豆群(D群)も,基準食と比較して,共にGAUCは低値であった(P<0.05).インスリン値は,C群の米飯摂食時0分でのみ基食値よりも高かった(P<0.05).C群IAUC・D群IAUCは,共に基準食IAUCと差はなかった.
3.遊離脂肪酸はAB⁄CD群において,それぞれの基準食と差はなかった.
【結語】牛乳を米飯摂食前15分に摂取すると食後の血糖上昇抑制効果があった.納豆摂取は米飯摂取15分前でも15分後でも血糖上昇を抑制した.この食後血糖上昇の抑制には,牛乳ではインスリンが関与する可能性があり,一方納豆ではインスリン分泌が関与しないことが示された.
キーワード | postprandial blood glucose; insulin; rice; milk; soybean products; glycemic index (GI) blood glucose; glucose tolerance test; diurnal variation; morning; afternoon |
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酒井映子、大須賀惠子、中根恭子、佐藤祐造
アブストラクト
【目的】小児期の肥満や痩身は早期に取り組むべき重要な健康課題である.そこで,夏季休業期間を含む6ヶ月の体重変化に着目し,肥満とやせの実態を生活習慣との関連から把握して,今後の健康教育に資することを目的とする.
【方法】対象はA県I小学校の全校児童107名の内,調査に同意の得られた106名(男63名,女43名)である.調査内容は平成23年4月および9月に行った身体測定データおよび生活習慣34項目を取り上げた.肥満および痩身は学校保健統計調査と同一の方法で算定した.9月の身体計測の体型が肥満度20%以上を肥満傾向児(以下,肥満),‒20%以下を痩身傾向児とした.また,体重増加3kg以上群と体重増加不良群(0kgまたは減少群)について生活習慣等との関連を分析した.
【結果および考察】1.体重3kg以上増加児童は17名(15.9%),体重増加不良児は10名(9.4%)であった.後者は身長の伸びも少ない傾向にあった(p=0.073).
2.肥満群では夏季休暇中を含む期間に肥満度がさらに高くなっていた.
3.体重3kg以上群と3kg以下群の生活習慣を比較すると,オッズ比は前者ではよく噛まないで食べる児が4.2倍,片方の歯だけで噛む児が3.3倍であり,咀嚼に関する要因があげられた.
4.体重増加不良群とその他の群のオッズ比は前者ではTVを見ないで食事をする児が7.2倍,何でも話せる友達がいない児は6.3倍,体育の時間が好きでない児が6.0倍であった.
【結論】今後の健康管理について,体重増加群では生活習慣の特徴を踏まえた全体教育と個々の児童の課題に応じたサポート,体重増加不良群では定期的な体重測定と痩身を予防するための心身両面のサポートが重要である.
キーワード | 小学生,肥満傾向児,痩せ傾向児,生活習慣 |
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森 圭子、宮田真依子、国枝紗希、伊藤里美、久世 訓、髙林慶子、佐藤祐造
アブストラクト
背景と目的:2000年から始まったわが国の「健康日本21」は,食生活・栄養分野では肥満者の減少等とともに,野菜の摂取増(350g⁄日以上)を目標としたが,最終評価(295g⁄日)は,ベースラインの1997年(292g⁄日)と比べて,有意な変化はみられなかったとした.中でも,20代の摂取量が最も低く(242g⁄日),若年・中年層の摂取増が課題である.米国では,1990年代に「ファイブ・ア・デイ」運動が進められ,国民の野菜の摂取増に大きな成果をあげた.成功の背景の一つに「カット野菜の普及」があったとされる.わが国のカット野菜を取り巻く環境は,未だ十分でない.本研究の目的は,家庭で1週間に購入される野菜の量はある程度の習慣性を有すると考えられるため,地域住民の野菜摂取量を簡易な方法を用いて現状把握し,摂取量の低値者の特徴を明らかにするとともに,カット野菜が有する野菜摂取増への可能性について検討することである.
方法:平成23年9月,N市近郊のスーパーマーケット(SM)利用者174名(男性11%)に対し,質問紙による野菜とカット野菜に関する意識等ならびにSMで購入された野菜を元に,世帯人数,世帯の1週間当たりの摂取野菜の種類と量について記録を求めた.一人当たり平均野菜摂取量を算出し,野菜摂取に関する要因を検討した.解析にはSPSSver.20を用いて,χ2検定,t検定,Tukeyの多重比較および性・年齢・家族人数で調整するためにGLMによる共分散分析を行った.
結果:本結果による野菜摂取量は国民健康・栄養調査(NHNS)に比べて低値であるものの,60歳以上者の摂取量は若年・中年より有意に高値であり,NHNSと同様であった.野菜を毎食食べることは60歳未満者では現実にかなり困難であり,1日3回摂取と2回摂取の場合の野菜摂取量には有意な差は認められなかった.カット野菜は対象の6割にすでに購入経験があり,購入した者の9割が便利であるとしていたが,全体の6割がカット野菜には安全性・栄養の損失の面に不安があるとしていた.しかし,野菜に対する不安がない者の方がある者より野菜摂取量が低く,対象の7割が不安がなくなれば,カット野菜を購入したいとし,また国民の野菜摂取量も増加すると考えていた.
結論:1日に2回,習慣的に野菜を食べることができれば,国民の野菜摂取量を有意に増加させることができると考えられ,市場でのカット野菜の充実および普及は,わが国の改善しない野菜摂取量を増加させる可能性が示唆された.
キーワード | Vegetable, Precut vegetable, Supermarket, Effort to increase vegetable intakes, Japanese |
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アブストラクト
学校のトイレは,臭い,汚いなどと呼ばれイメージが悪く,その環境が悪いことは,子どもたちの学校での排便を抑制し,適切に行われるべき排泄行為を阻害するために,便秘の原因になることが指摘されている.A高等学校では,平成21年度に湿式トイレから乾式トイレに改修された.清掃方法の変更により,改修直後より床の汚れが問題であった.そこで,使用する生徒自身が清潔の意識を高め,清潔行動ができることがトイレを清潔に保つために重要であると考え,平成23年度の学校保健活動の中で,トイレへの掲示を作成した.その効果を確認するために,掲示前後に1・2年生386名を対象に質問紙調査を行った.調査結果から,トイレへの掲示だけでは利用マナーや清潔意識の向上にはつながらなかったが,学校のトイレ清掃の経験のある者は,清掃経験のない者よりも「床や便器を汚したら拭いている」者や「ペーパーの補充を行っている」者が多く,利用や清潔に対する意識が高いことが明らかとなった.高校生がトイレの利用を通して,清潔に対する意識や好ましい清潔習慣を身につけさせるには,教師からの直接的な働きかけが望ましいことが捉えられた.
キーワード | 学校トイレ,清潔意識,健康教育,清掃 |
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内藤正和
アブストラクト
近年,総合型地域スポーツクラブは増加傾向にあるが,NPO法人化を行ったクラブはまだ少ないのが現状である.そこで本研究はNPO法人化した総合型地域スポーツクラブを対象にアンケート調査を実施し,総合型地域スポーツクラブのマネジメントにおいてNPO法人化がどのような役割や影響があるのか検討することを目的とする.
総合型地域スポーツクラブはNPO法人化を前提に設立・運営されているが,NPO法人化が運営のターニングポイントとなっており,NPO法人化が早ければ早い程柔軟に対応できるといえる.またNPO法人化後には実際には目に見えない効果を実感しており,運営に大きな影響を与えている.
comprehensive community sports club, specified nonprofit corporation, management |
甘利秋月、辰巳 寛、山本正彦
アブストラクト
目的:本研究は,言語聴覚臨床実習における教育指導の質的向上を図るための基礎的知見を得ることを目的とした.
方法:対象は,言語聴覚士養成課程のある大学または専修学校に在籍し,6週間以上の臨床実習を終了した学生88名である.学生には,実習中の生活環境や心身健康状態,実習内容等に関するアンケート調査(6項目48問)を実施した.
結果:アンケート回収率81.8%.生活環境面では,不慣れな地域での単身生活や短い睡眠時間,長い通勤時間,不規則な生活など,学生の心身に悪影響を及ぼす問題が多かった.教育・学習面では,養成校での実践的教育の不足や,学生の実習前の準備不足等の問題が明らかとなった.実習内容面では,高次脳機能障害に比較して発達障害や聴覚障害の実習が少なく,実習先によって学生が研修できた教育内容に大きな相違があった.
結論:言語聴覚実習の質的向上のためには,養成校と実習施設が緊密に連携し合い,実習指導内容に関する双方の役割を明確にした上で,実習内容の均質化を図る必要がある.学生に対しては可及的早期から言語聴覚療法の基本的技能の習得に向けた臨床的指導が重要である.
キーワード | 言語聴覚士,臨床実習,アンケート調査,環境調整 |
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